世界に誇る日本映画最大のキャラクター、怪獣王ゴジラが「インデペンデンス・デイ」のスタッフによって、ついにハリウッドで映画化された。タヒチ沖で海難事故が続発する一方、パナマの丘陵地帯で巨大な足跡が発見される。調査にあたった生物学者ニックは、これが核実験の影響で誕生した新種の巨大生物ではないかと推測。ジャマイカでは大きな爪痕を付けられた日本漁船が打ち上げられ、生存者の老人はうわごとのように“ゴジラ”と呟き続ける。そして長雨に曝されていたニューヨークへ突如、その生物は現れた。だがニックや軍隊が駆けつけた時、すでにその生物--ゴジラは消えていた。マンハッタン島のどこかに潜伏しているのは間違いない。エサに釣られて再びその巨体を現したゴジラはヘリ部隊の追撃を逃れまたも姿を隠してしまった。ニックはゴジラの体液からこの巨大生物が妊娠状態にある事を知る。ゴジラはマンハッタンに巣を作ろうとしているのだ!従来のデザインから大きく離れ生物的リアリティに溢れた造型が観る前から賛否を巻き起こしていたが、そんな事はこの一本調子で見せ場に欠けるシナリオの前では些末な障害に過ぎなかった。生存本能のまま行動するゴジラにはモンスターとしての凄みは無く、NYの街を破壊するのはゴジラではなく無能な軍隊であり、昔の恋人とよりを戻す主人公など取って付けたような人間ドラマにも閉口せざるを得ない。マジソン・スクエア・ガーデンで繰り広げられるベビーゴジラの群れと戦うシーンなど「ジュラシック・パーク」の安易な焼き直しでしかないのだ。保険調査員、実は仏諜報部員というジャン・レノの役どころなど面白くなりそうな部分もなくはなかったが、概ねのところでこの作品は失敗している。せっかくの題材をうまく活かしきれなかったスタッフには猛省を促したい。
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