小夜は東京でファッションデザイナーの卵として暮らしていた。そんなある日、地元に暮らす姉のあすみから連絡が入る。それは今度結婚するという内容の電話。「おめでとう。何て人?」あすみは言いにくそうに名前を言った。「布施野さん……」名前を聞いて小夜は愕然とした。その男は8年前にある事件を起こしていた。いてもたってもいられず、友人のエイゴを連れて故郷へ戻った小夜。妹の突然の帰郷に、あすみは動揺を隠せない。その日から、質素ながらも平穏だったあすみの暮らしは、小夜を中心に回り出す。帰宅した布施野と8年ぶりの再会を果たした小夜は、地元の企業に就職し、結婚も控えるなど順風満帆な布施野に苛立ちを募らせる。実は8年前、布施野は小夜の事件に関係していた男だった。そして小夜の出現を引き金に、あすみに思いを寄せる幼なじみ、事件の現場に居合わせた布施野の友人と、事件を小説にしようとするその恋人ーーー様々な思惑を抱える人々の「業」が次第に炙り出されていく。布施野に対する憎しみが抑えきれず、ついに驚くべき行動に出る小夜。そしてあすみと小夜との確執が明らかとなっていく。
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