スパイク・リー次席の筆頭に挙げられる新鋭黒人監督J・シングルトンのメジャー・デビュー作。LAのサウスセントラルで肩を並べて育った三人の少年の青春の悲劇を等身大にみつめている点が高く評価された。離婚家庭ではあるが、暴力否定のしっかりした考えを持つ父(L・フィッシュバーン)に育てられたトレ(C・グッディング・Jr)は優等生。その親友リッキー(M・チェスナット)はフットボールの名選手で高校生でありながらすでに妻子持ち。その兄ドウボーイ(I・キューブ)は悪の道に片足つっこんだ、いわゆる“ストリート・ギャング”だ。彼らは不良グループ=クレンショウ組に目をつけられており、ある日、いざこざからリッキーが射殺され、怒り狂うドウボーイに引きずられる形でトレもその報復に出向くのだが……。シングルトンの演出には、若さゆえの粗さや激しさがなく、妙に大人しくまとまってしまった感があるのだが、リッキーと妻の杜撰な子育てや怠惰な暮らしぶりが妙にリアルで、アメリカ黒人青年のよくある裏側をつぶさにみさせられた気がして興味深かった。ギャングばかりが若いブラザーの実態ではない。そんな当り前さがよく描けていた。
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